欲。
ライブハウスで演奏をすることになるなんて、バンド結成した当初のことを考えるとまさか思ってもみなかったことだった。
一番初めは、ただ、なぜかお声がけをいただき、メンバー間のコミュニケーションも完全手探り状態で、どうにかこうにか本番を迎えるだけだった。
いまから考えると、セットリストも変だったし、苦笑するしかないような出来事はたくさんあるのだが、それでもやはり、一回目は滅茶苦茶楽しかった。
問題はそこからである。
すこし欲が出て、今度は逆オファーなんかもしてみたりして、いざそれが実現することになって、という話だ。
もはや、これまで何回公演したのか、ちょっと指折り数えないとわからないところまできている。
いつも、「前やったことと同じこと」を出発点に企画を立てるのだが、つい、練習していると、「ちょっとこんなこともやってみようか」が生まれる。
それは、ダンスであったり、お面であったり、ピアノソロであったり、寸劇であったり、ゲームであったり、ブルース・ハープであったり。
「ちょっとこんなこともやってみようか」の後には「それはさすがに無理だろ」が訪れる。
しかしなぜか、わけのわからない何かしらの集中力やエネルギー、めぐりあわせのような、
インスピレーションのような、不可解なきっかけによって、それが実現していくのである。
子どもたちに楽しんで欲しい、が動機の根本にあるが、それが100%ではない。
アンコールが欲しいとか、自分がもう少し目立ちたいとか、あの人に輝いて欲しいとか、微妙な欲の結合と集積が運動を、リズムを生んでいる。
結果、毎度毎度、「これが最後かな」なんて言いながら、活動は続き、「ライブハウスでの公演」という現在地にある。
今年は活動エリアを大幅に広げることになりそうな企画が走り始めている。
たぶん、一番たいへんなのはひさとしリーダーで、台本の「構造」がかなり重要になる。
一個一個の公演というよりも、広範囲活動全体をマネジメントする、それを実現するための「脚本の構造」である。
きっと才能を爆発させてくれると信じている。
それよりも、である。
いったいおれたちはなにをやっているんだ。
そして、どこまでいくんだ。
もちろん回答はただひとつ。「いくところまで、いけるところまでいくんだ」と。メンバー同士、酒を飲むたびに、問わず語りのようにこの会話は繰り返されてきた。
しかし、何度、自問自答しても足りないよ。
いったい、おれたちは、なにをやっているんだ。笑